KOHARU日和

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『52ヘルツのクジラたち』のあらすじと感想・魂の番 (つがい)って何だろう

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また良い本に出会いました。

町田そのこさん初の長編小説、『52ヘルツのクジラたち』。

2021年の本屋大賞を受賞した作品です。

「すごく良かった」という声を聞いて読んでみたのですが、一気に引き込まれました。

本好きな全国の書店員さん達が選んだ本はハズレがないですね。

涙が止まらなかったです。

 

「52ヘルツのクジラ」ってどんなクジラ?

タイトルにある「ヘルツ」というのは周波数の単位。

ほとんどのクジラが15~25ヘルツ程度の周波数でコミュニケーションを取るそうです。

 

1992年にアメリカ海軍によって初めて「52ヘルツ」という周波数を発するクジラが観測され「52」という名前が付けられました。

 

いくら声を出しても他の仲間に届かない。

世界一孤独なクジラです。

 

この本はそんな「声を出しても誰にも届かない」という孤独を抱えた人達が物語を繰り広げます。

 

帯はこんな感じ

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『52ヘルツのクジラたち』のあらすじ

主人公のキナコ(貴瑚)は自分の人生を家族に翻弄され、海沿いの田舎町へ。

そこで母親に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年に偶然出会います。

 

どれだけ裏切られても愛情を求めていた二人が出会うことで、新たな物語が紡がれていきます。

これ以上はネタバレになりそうなので、ぜひ読んでみてください。

未来屋小説大賞で1位になりました。

 

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『52ヘルツのクジラたち』を読んだ感想

 孤独は誰しも抱えているものですが、声が届かないのはつらいです。

親の虐待や恋人からのDVを受けている人は声すら出せない、そんな状況が小説の中に描かれていました。

 

読み終えてからつくづく、届かない声に耳を傾けられる人になりたいと思いました。

 

虐待による事件などをニュースで見る度、

「どうして相談しなかったんだろう?」

「誰かに助けを求めればいいのに」

と簡単に考えがち。

 

しかし実際にDVや虐待を受けている人は言えないもの。

ほとんどが暴力を振るう側の人間に洗脳され

「自分が悪いから叩かれているんだ」

と思い込んでいます。

 

誰か1人でも声に気付き、救いの手を差し伸べることができたら。

悲しい結果に終わらず明るい世界に出られるかもしれない。

この本を読んでそう思いました。

 

あいさつや話し方など、ちょっとした変化にも敏感に。

「この人になら話しても大丈夫かな」と思ってもらえる人間になりたいです。

 

魂の番(つがい)

私は軽々しく「届かない声に耳を傾けられる人になれたら」と思ったけど、何度も裏切られ疲弊してる人にとってはあまり役に立たないだろうな。

 

この小説に出てくる人物が求めているのは「魂の番(つがい)」。

キナコはたくさんの人に支えられながら、自らその手を振り払ってしまいます。

 

純粋に優しさで手を差し伸べても、必ずしもその人を救うとは限らないことが伝わってくる。

彼女らが求めている「魂の番」は、同じ境遇を経験し心底分かり合える人でないと…

 

中途半端な同情はいらないかもしれない…

 

いろんなことを感じられる作品でした。

 

 

読んでいただきありがとうございました。