(映画『こどもしょくどう』オフィシャルサイトより)
https://kodomoshokudo.pal-ep.com/
〈目次〉
映画『こどもしょくどう』のあらすじ
先日、『こどもしょくどう』という映画を観ました。子どもの貧困、いじめ、育児放棄など、現代の日本が抱える問題が凝縮されており、たくさんのことを考えさせられます。
主人公の男の子ユウトは小学5年生。両親は食堂を営んでいます。
同級生のタカシは母子家庭。ほぼ育児放棄の状態。母親は家に男を連れ込み居場所がなく、冷蔵庫に1,000円札が入っているだけ。ユウトの家でご飯を食べさせてもらっています。
ある日、車で寝泊まりする姉妹を見かけ、物語が始まります。
無責任・事なかれ主義の大人達
脚本のある作り話のようですが、実際に貧困で苦しむ子どもはたくさんいます。厚生労働省発表の「子供の相対的貧困率」は16.3%。6人に1人の子どもが貧困状態にあるそうです。
6人に1人ってスゴくないですか?
先進国の中でも突出して「相対的な貧困」が多いのだとか。
コロナで緊急事態宣言が出され全国の学校が休みになった時、給食を食べられないために栄養不足の子どもが増えて問題になりました。自宅ではなく、給食で栄養を摂っている子が多いという現実。
映画の中には、ユウト君が両親に「あの子達を助けてあげて」と頼むシーンがあります。一時的に食事を出して家に宿泊させますが、子ども達が寝静まった後、
「行政か警察に頼むのが筋だろう」
「余計なことするな!」
という夫婦げんかが始まります。これが大人の本音というもの。
「誰かがやるだろう」
「俺たちの仕事じゃない」
背景には「自分が責任を取りたくない」という気持ちが見え隠れしています。もちろん、私もこのように困っている子を見つけたら児童相談所か警察に通報することでしょう。
子ども食堂が必要な背景
主人公のユウト君は、友達のタカシ君がいじめられている場面を何度も目撃します。
でも知らん顔。
帰り際タカシに近づき「何で自分がいじめられてるのか考えろよ」と言うだけ。助けようとはしません。
後に両親がホームレスの姉妹を助けてあげなかったとき、自分も親と同じ事をしただけだと打ち明けます。子どもは親の背中を見ているんですね。
日本が戦後貧しかった頃、食べ物はないけど皆で助け合って暮らしていたといいます。私が生まれた1970年代でも近所の人と仲が良かった。子供の頃、隣の屋根に登っていたりすると、知らないおじさんに怒られたものです。
日本には確実に、地域全体で子育てをしている時期がありました。
昔が良かったなんて言いません。昭和初期より令和の方が豊かです。しかし人間関係は希薄になり、周囲とのつながりは寂しいものになっているのではないでしょうか。
こんな現代だからこそ、子ども食堂が必要とされています。
「こどもしょくどう」はこちらから30日間無料で観られます。
人ごとでは済まない子どもの危機
育児放棄で幼い子どもが亡くなったとか、虐待で亡くなったという事件が後を絶ちません。
そんなニュースが出る度に、
「なんてひどい親なんだ」
「行政は何をやっていたんだ」
「児童相談所は仕事をしているのか?」
という意見が出ます。
「どこか遠い世界で、悪い奴がいるから子どもが犠牲になっている。かわいそうに…。」
そう思っていました。
でも現実は、私たちのすぐ近くで声を出すことも出来ずに苦しんでいる子どもがたくさんいるのかもしれません。
6人に1人ですよ。早く見つけてあげなければ。
「自己責任」という無責任な社会
数年前、困っている人達を助けるため海外に行った人が、反社会勢力に拘束された事件がありました。その頃から「自己責任」という言葉が頻繁に使われるようになったと思います。
「何でそんな危ないところに行くんだ」
「勝手に行った奴が悪い」
「好きで行った人の自己責任。助ける必要はない」
日本中が口をそろえて言っていましたね。
何が正しいのか、私にはわかりません。ただ、困っている人を助けようとして行動した人が悪いとは思えない。拘束した勢力が悪いのは明らかだと感じています。
では同じように、食事を摂ることも難しい子どもは自分のせいなのでしょうか。
そんな親のところに生まれたから仕方ないのか?
食事を与えられない親は自己責任なのでしょうか。
「稼ぐことができない奴が悪い。もっと稼げ」ということ?
そんなことはないと思います。
苦しくても「助けて」と言えない風潮が蔓延している気がしてならない。
もっと助け合える社会になるべきです。
困っている人や家族に、手を差し伸べる人が増えるべきなんだ。
まずは自分が人を助けられる人間になりたい。
そう強く感じました。
子ども食堂は経営できないから、お金だけでも出したいな。
もっと稼ぎます!
近所の子どもが悪いことをしていたら、遠慮なく叱ることの出来るオヤジでありたい。
(その子の親が乗り込んでくるかもしれないけど…。)
たくさん考えさせられる映画です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。